裏紙の数字読取窓と ファインダー |
使用するフィルムはボルタ判。ボルタ判とは一言で言うなら120フィルムの35 ㎜版である。使用方法も120フィルムに準じているため、実際の撮影ではフィルムを巻き取るための空スプールが必要である。
レンズは単玉のNEW MK LENS 50 ㎜ F8、最短撮影距離は不明、おそらく1.5 m前後か。画面サイズは24×36 mm(ライカ版)、収差補正のためにフィルムガイド面は湾曲している。ファインダーは素通しのガラスファインダー。シャッターは豆カメラと同じB(バルブ)、I(インスタント)の2種類。巻き上げと非連動でチャージも不要のため、何度もシャッターが切れる。シャッター速度は不明、おそらく1/50~1/100秒くらいだろう。絞りは5枚の虹彩絞りでF8「DULL」,11,16「BRIGHT」の位置に目盛りが記されている。シンクロはコード式、フィルム送りはノブ式で赤窓(実際は緑窓)による数値読み取り式である。
カメラの状態はモルトの経年劣化、ねじのゆるみはあるものの、外装に大きな傷は見られない。レンズやファインダーの曇りは少なく、絞りも動作する。故障個所はシャッター不良により常時バルブ撮影になることと、シンクロ接点不良である。修理できそうだが、実用性はないので飾るだけなら直す必要はない。
購入時点で撮影済みのボルタ判フィルムと空スプールがフィルム室内に残されていた。ボルタ判フィルムの実物を見たのは初めてである。実物のフィルムと空スプールが残されていることはめったにない。スプールが2本あれば裏紙を120フィルムから切り出し、35mmフィルムを流用すれば自作も可能で実際に自作する愛好家もいる。モノクロフィルムと現像タンク、現像液類があれば自家現像も可能である。
造りはチープながら金属製ボディとレトロなデザインは、現在の安価なプラ製カメラより所有欲を満たしてくれるカメラである。
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